こどもの胃洗浄・活性炭の適応や実際のやり方!

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こどもの異物誤飲はたまに遭遇する疾患ではないだろうか。
胃洗浄や活性炭が治療としてあることは知っているけど、実際にやったことないし、小児ではどうなの?と自信がない人も多いのではないだろうか?いざというときのために勉強しておこう。

目次

◆胃洗浄

【適応】摂取後1時間以内(ホコタテでは4時間)+大量摂取が疑われる or 毒性が高い物質

【合併症】誤嚥性肺炎、出血、食道・胃穿孔、低酸素血症、電解質異常、自律神経反射

【禁忌】有機溶剤、強酸や強アルカリなどの腐食性毒物、上部消化管術後、出血性素因

準備するもの
  • 心電図、サチュレーションモニター
  • 吸引チューブ(12Frなど太め)
  • ジャクソンリースなどの酸素投与器具
  • バイトブロック(10mL or 20mLシリンジを半分に切ったもので代用可)
  • 胃管(乳児:10Fr、幼児14Fr以上のなるべく太いもの) ホコ・タテでは24Frの記載
  • 胃管用シリンジ(50mL)
  • キシロカインゼリー
  • pHチェッカー
  • 胃管固定用テープ
  • 生理食塩水(2L) 
  • 排液容器(バケツなど)

※成人であれば電解質や浸透圧異常を起こしにくいので水道水でもよいが、5歳以下の小児では水道水では低Na血症の危険があるため生食が望ましい

※低体温を予防するため生食は38℃程度に温める

実際の手順
  • 意識レベル低下、けいれん時は誤嚥防止のため挿管後に施行
  • 心電図、サチュレーションモニターを装着
  • バイトブロックを挿入
  • 胃管を経口挿入する
  • 胃内容物の吸引、胃内容物のpHチェック、胃泡音を確認し胃管が正しく胃内に入っているか確認する
  • 左側臥位、頭側を10-15度下げた体位とする
  • 胃内容物をできるだけ吸引する
  • 体温程度に加温した生理食塩水を1回10-20mL/kg300mLを超えない)ゆっくり注入して排液する
  • 排液が透明になるまで繰り返す(通常1-2Lを推奨
http://www.nejiko.net/contents-index/kampeki/kampeki07.html

◆活性炭

【適応】摂取後1時間以内(ホコ・タテでは4時間以内)+大量摂取が疑われる or 毒性が高い物質

【合併症】誤嚥性肺炎、出血、食道・胃穿孔、低酸素血症、電解質異常、自律神経反射

【禁忌】腸閉塞、消化管穿孔、腸管運動を抑制する薬物の服用、麻痺性イレウス

単回投与繰り返し投与無効
アスピリン
アセトアミノフェン
バルビツレート
フェニトイン
テオフィリン
三環系・四環系抗うつ薬
【エビデンスあり】
テオフィリン(テオドール,テオロング)
三環系抗うつ薬
フェノバルビタール(フェノバール)
フェノチアジン系薬
オピオイド
カルシウム拮抗薬
抗コリン薬
【エビデンスないが排泄を増強されると考えられるもの】
カルバマゼピン(テグレトール)
フェニトイン(アレビアチン)
サリチル酸(アスピリンなど)
バルプロ酸,ジギトキシン
サイクロスポリン
フェニルブタゾン
ナドロール(ナデックス)
強酸
強アルカリ
エタノール
エチレングリコール

硫酸鉄
リチウム
ヒ素
カリウム
ヨウ素
ホウ素
フッ化物
臭化物
準備するもの

胃管を挿入する場合は胃洗浄のものに加えて、

活性炭 1g/kg)とD-ソルビトール 0.5-1g/kgを一緒に生食 10-20mL/kgに溶解

胃管は16Fr以上のなるべく太いもの ※詰まりやすい

※活性炭は飛散しやすく、衣服などに付着すると落とすのに苦労するので注意

実際の手順
  • 意識レベル低下、けいれん時は誤嚥防止のため挿管後に施行
  • 心電図、サチュレーションモニター装着
  • バイトブロックを挿入
  • 胃管を挿入する
  • 胃内容物の吸引、胃内容物のpHチェック、胃泡音を確認し胃管が正しく胃内に入っているか確認する
  • 左側臥位、頭側を10-15度下げた体位とする
  • 胃内容物をできるだけ吸引
  • 活性炭+嚥下剤入りの生食を素早く押し込む(∵胃管内で固まりを防ぐ)

※繰り返し投与の場合、初回量は単回投与法と同量とし,2回目以降は初回量の半量を2~6時間ごとに24~48時間,繰り返し投与する.2回目以降の投与量は,0.5g/kgを2~4時間ごとに,または20gを2時間ごとに,40gを4時間ごとに,60gを6時間ごとになど各種の投与法がある.

※投与回数よりも総投与量が重要である.初回投与時は,緩下剤を併用するが,それを繰り返し投与すると,体液・電解質障害を生じる可能性があり,2回目以降は原則として併用しない.

活性炭は黒くて泥のようで,無味無臭ではあるが,口に含んだときのザラザラ感は相当不快。この活性炭を経口摂取するには抵抗があり、日本では経鼻胃管から投与されることが多い。

参考文献

  • 岡本光宏 『めざせ即戦力レジデント!小児科ですぐに戦えるホコとタテ』診断と治療社 2022年4月
  • 神奈川県立こども医療センター 小児内科・小児外科 『小児科当直医マニュアル 改定第15版』診断と治療社 2019年5月
  • 一般社団法人 日本中毒学会ホームページ
  • 井上信明 『改定ER的小児救急』 CPR
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