目次
発達の目安・ポイント
- 手で支えずにお座りができる
- 前方パラシュート反応を認める
- つかまり立ちができる
- 他人ではなく母に抱かれたがるなど、意思を示すことができるようになる
- 喃語を発するようになる
診察の流れ
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10ヶ月では4ヶ月や7ヶ月に比べると健診時に泣く赤ちゃんが多くなってくるので、おもちゃであやしてから診察を始めたり泣かせない工夫が重要だよ。
STEP
身長・体重のチェック
- 身長:70-74cmくらい、体重:8-9kgくらい
体重増加は200-300g/月とゆっくりになってくる。
STEP
問診
- 支えなしでおすわりできるか
- 後追いをするか
- つかまり立ちをするか
- 手と膝で四つん這いをするか
- 目と目があって微笑むか
- バイバイやパチパチをまねするか
- 人見知りをするか
- 喃語はでているか
- 母親が「いけません」というと手を引っ込めて母親の顔をみるか
STEP
保護者に抱かれた状態で目が合うか(社会性)
STEP
積み木をつかませる(微細運動)
親指と人差し指or中指でつかもうとすれば合格。指全体は不可 8M:77.8% 9M:96.2%
おもちゃを持ちかえるか 7M:90%、8M:100%
STEP
頭頚部・胸腹部・股関節・四肢の一般的診察
- 先天性股関節脱臼、停留精巣などを見落とさないように
STEP
引き起こし反応の観察
- 正常では頭部は前屈し、上肢は屈曲する
- 上肢が進展したままだと明らかに異常
STEP
座位の観察(粗大運動)
- この時期では在位が十分に安定し、長時間座って遊べるようになっている
- 座位を取れない場合や不安定な場合は異常と考えられる
STEP
立位の観察(粗大運動)
- 立位にして、つかまり立ちができるかどうかの確認 9M:86.5% 10M:98.1%
STEP
ホッピング反応
立位で例えば右側に倒したとき、左側の下肢が交差して体重を支えられれば正常
▶反応がない場合は発達の異常が考えられる
STEP
パラシュート反応
赤ちゃんを背後から抱いて上体を頭から落下させるようにすると、
両上肢を伸展させ、両手を開いて体を支えようとする反応
シャフリングベビー
- シャフリングベビーとは、はいはいをせずに、移動は主に座ったまま、両足で船をこぐように前進する赤ちゃんのこと
- そのままはいはいをせずに、1歳半くらいで一人立ち、一人歩きを始めることがほとんどで、珍しいことではない
- 運動、言葉の発達などが正常であれば経過観察で大丈夫
立たせようとしても下肢を屈曲させ、足をベッドにつこうとしないsitting on air postureがシャフリングベビーでよくみられる
この時期によくある質問
- 歯がまだ生えてこない
-
歯が生え始める時期にはかなりの個人差がある。通常1歳までには生えてくると説明する。
- フォローアップミルクに変えたほうがいいか
-
10ヶ月を過ぎ3回食になったら、ミルク栄養児はフォローアップミルクへの切り替えを考慮する。牛乳は鉄分が十分でなく吸収も悪いため、乳児期には鉄欠乏になる可能性がある。
母乳栄養で離乳食が順調に進んでいる場合はあえてフォローアップミルクを使う必要はない。
体重増加が十分でない児では育児用粉乳の方が適している - はいはいができません
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シャフリングベビーかもしれず、それだけでは異常ではない
参考動画 〜東京都医師会HPより〜
【参考文献】
- 福岡地区小児科医会 乳幼児保健委員会 『乳幼児健診マニュアル 第6版』 医学書院
- 腹 朋邦 『トントン先生の乳幼児健診』 羊土社
- 水野克己 『新板お母さんがもっと元気になる乳児健診』 メディカ出版
- 洲鎌盛一 『乳幼児の発達障害診療マニュアル 健診の診かた・発達の促しかた』 医学書院
- 阪下和美 『正常ですで終わらせない!子どものヘルス・スーパービジョン』東京医学社
- 楠田聡 『周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル 第3版』 東京医学社
- 『小児科診療 乳幼児健診Q&A』2012 11月特大号
- 国立成育医療研究センター『乳幼児健康診査身体診察マニュアル』
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