【ママ・パパ向け】誰でもわかる“経口補水療法”

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こどもがかぜをひいてしまって全然食べない、水分も飲んでくれないしどんどん元気がなくなっていく…
そんなことにならないように今回は『体調が悪いときの食事・水分の与え方』について話します。
特に点滴と同等の効果を持つとされる“経口補水療法”についてママ・パパに向けてわかりやすく解説します。

●かぜを引いたときの食事・水分の与えかたがわかる
●経口補水液のことがわかる
●食べれない・飲めないときの受診のタイミングがわかる

この記事で何度もこれからやってくる子どもの体調不良時の水分補給のコツをマスターしましょう!

目次

まず何を飲ませたら良いの?

こどもがかぜを引いたときなかなかご飯を食べなかったり水分も飲まなかったりで脱水にならないかと心配になったママさんはたくさんいると思います。

奮闘中のママ

そもそも何をやればいいの?糖分とかもとるようになんとなくアクエリアス®とかポカリスエット®などのスポーツ飲料を飲ませてるんだけどあってるのかなあ…

それでは何が水分補給の最適なのか成分を見てみましょう。

代表的な飲み物の成分表

スクロールできます
商品ナトリウムカリウムブドウ糖浸透圧

WHO-ORS
752075245

OS-1®
5020100270

アクアライト®
3520100200

ポカリスエット®
21.35372326

アクエリアス®
115278260
Na, K, Clの単位はmEq/L、ブドウ糖はmmol/L、浸透圧はmOsm/L

胃腸炎やかぜを引いたときの水分補給ではナトリウムは20-60mEq/L程度がよいとされています。
ポカリスエット®、アクエリアス®はスポーツ飲料なので適していると思われがちですが、塩分が意外と少ないのです

糖分に関してはもちろん入っているに越したほうがいいのですが、入りすぎていてもよくありません。
これは糖分が多くなると必然的に浸透圧というものが高くなり、腸からの吸収が悪くなるからです。
ポカリスエット®、アクエリアス®は糖分が入りすぎていて浸透圧も高くなっていることが一覧からわかると思います。

したがって、体調不良時の水分補給として塩分・糖分いずれの観点からもスポーツ飲料は適していません

最適なのがOS-1®です。アクアライト®はやや塩分が少ないですがアクアライトでもいいでしょう。

ただし、糖分補給の目的でスポーツ飲料を飲んだり、割と元気なうちはスポーツ飲料でも大丈夫です。
元気なうちに好きなもので量をかせいでおくことも重要です。

経口補水療法ってなに?

自宅で塩分・電解質入りの水分(経口補水液)を摂取させることを経口補水療法(oral rehydration therapy:ORT)と我々は言います。

ORTはかつて開発途上国のコレラの小児を救命するためにWHOが経口補水液を開発したことを契機に普及した治療法で、経口補水液を適切に飲むことで点滴と同等の水・電解質補給効果があることがエビデンスで示されています

現在では先進諸国においてもORTが軽度〜中等度脱水の治療法として確立しており、世界的に標準となっている初期治療です。

  • 世界でも標準的な治療効果が証明されている
  • 安くで実施できる
  • 家でも行える
  • 点滴のためにこどもに痛い思いをさせなくてよい

課題はまだまだありますが、日本は医療の体制が世界の中ではかなり整っているほうなので脱水→点滴のイメージが強いと思います。

しかし、点滴をするにはこどもが頑張らなくちゃいけません。
ただでさえ体がしんどい中、こどもにとっては非常に怖くて痛い思いをしなきゃいけないのです。
点滴が不要な状態なのに、「点滴してほしいです」と簡単にいうママ・パパさんがいらっしゃいますが、それはお子さんがかわいそうです。
点滴が必要な状態かは小児科医の判断に任せましょう。

多くの場合はこの経口補水療法で脱水を防ぐことができます。こどもに水分をとらせるのはとても大変なことです。
小児科医もママ・パパでもある先生も多いのでそれは十分にわかっています。
ですがしんどい状態のこどもに頑張らせるのではなく、まずはこどもが辛い分ママパパがその分代わりに頑張ってあげましょう。


ただ粘り過ぎは厳禁です。受診のタイミングもこの記事でこの後話します。

経口補水療法のやり方

それでは実際にどうすればいいのか解説します。

経口補水療法のやり方は色々あります。
ネットで調べると色々な方法が紹介されています。どれが最適だとかはないのでやりやすいものでいいです。

ポイントとしては少量を頻回に分けて投与することです。
一度にたくさんの量を与えると胃腸炎のときであれば嘔吐する可能性が高くなります。
また、こどもも少量頻回のほうが飲んでくれることが多いです。

私が世界保健機関(WHO)や米港疾病管理予防センター(CDC)、小児胃腸炎ガイドラインなどを参考にして、実際に患者さんに伝えているやり方を紹介します。

YouDocがおすすめする経口補水療法の方法

STEP
まずは1回5mLの経口補水液を5分おきに飲ませる

ペットボトル1杯が約5mLです。

STEP
吐かなければ5分おきに10mL、15mL、20mLと少しずつ増やす

1回の飲ませる量の目標体重のkgと同じ〜2倍のmLを目標にしましょう。

例)体重10kgなら10mL〜20mL、体重15kgなら15mL〜30mLまで増やしましょう

STEP
4時間かけて目標量を飲ませる

4時間後の目標は体重×50[mL]です

STEP②のやり方で4時間飲ませるとこの量に近い量になります。

例えば体重10kgなら10×50=500[mL]を4時間で飲ませることが目標です。

STEP②の1回の飲ませる目標である体重と同じmLだとすると1回10mLを5分おきに飲ませれば、1時間で10mL×12=120mL、4時間で480mLとなるので4時間の目標に近くなります。

STEP
嘔吐したり下痢したりした場合、そのたびに追加で飲ませる

嘔吐、下痢した場合は水分や塩分などが喪失するためその分補充が必要です。

補充の目標は2歳未満50-100mL2-10歳100-200mLです

体重1回量1時間の目安4時間量の目標
10kg10-20mL120-240mL500mL
15kg15-30mL180-360mL750mL
20kg20-40mL240-480mL1000mL
【下痢・嘔吐時の補充】
2歳未満:50-100mL 2-10歳:100-200mL 
それ以降は飲みたいだけ

おすすめの経口補水液

おすすめの経口補水液は大塚製薬のOS-1®です。
もはやコレ一択といってもいいでしょう。
ドラッグストアなどでもみなさんもよくみかけるものではないでしょうか。
成分もばっちしなので迷わずこれを選べば間違いありません

アップル風味もあるのでお子さんが少しでも好きな方を選びましょう。

ゼリータイプもあります。
ゼリータイプならちょこちょこ口にしてくれることもあります。

家でも作れる経口補水液

経口補水液が家にない場合でも大丈夫です。
経口補水液は自宅でも簡単に作れます。

水1Lに対して砂糖40g塩3g、お好みに応じてレモン少量を加えるだけです。

いざというときのために参考にしてみてください

受診のタイミング

家で頑張って経口補水を行い入院を防ぐことはとても重要で是非みなさんにも頑張っていただきたいですが、ねばり過ぎはもちろん厳禁です。飲めない・食べれないで必ず受診したほうがいい目安としては、

  • 意識が悪い
  • 顔色が悪い
  • 手足が冷たい・色が悪い
  • けいれんした
  • 尿の回数が少ない
  • 口や舌が乾燥している
  • 泣いているのに涙が出ない
  • 半日以上水分が飲めない

これらのきざしが出てきた場合は受診するようにしましょう。

よくある質問

水分はとれるんだけどご飯は全然食べてくれないんだけど大丈夫?

こどもの病気のほとんどは数日〜1週間程度で自然になおるものです。
ごはんは食べていなくても経口補水液のような適切な水分を適切な量をとれていれば大丈夫です。
ごはんは急性期のうちは無理しなくて大丈夫です。

胃腸炎のときなど嘔吐したり下痢したりしているときはごはんはなにをやればいいの?

決まりはありませんがひとつわかりやすい目安としては便の形と同じくらいのご飯を与えるというものです。
例えば便が水っぽいサラサラのものであれば、ごはんは無理せず水分を与える、どろみたいなものであればおかゆを与えましょう。

ミルクは薄めたほうがいいの?

薄める必要はありません。そのままで大丈夫です。もちろん母乳もそのままで構いません。
コツとしては経口補水療法と同じように少量頻回がポイントです。
ちょこちょこを我慢強く続けましょう。

まとめ

ママ・パパのみなさん、体調不良時の食事・水分の与え方はマスターできたでしょうか?
こどものいざというときに経口補水を準備しておきましょう。

体調不良時の脱水予防のポイント
  • 飲ませることさえできればある程度大丈夫
  • 飲ませるものは『経口補水液』
  • 『少量を頻回に分けて』コツコツと
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